ナポレオンの村は実話?モデルとなった伝説の公務員、高野誠鮮とは?
2015/08/03
今夜21時00分から日曜劇場「ナポレオンの村」の放送が始まる。限界集落を蘇らせるために奮闘する今作の主人公、唐沢寿明演じる浅井栄治には実在のモデルがいる。
モデルとなったのは『ローマ法王に米を食べさせた男』の著者でもあり、石川県羽咋(はくい)市役所の伝説のスーパー公務員、高野誠鮮(たかのじょうせん)氏だ。高野氏は今夜18時30から放送された「夢の扉+」でも紹介された。
今回は、類まれな行動力と奇抜なアイデアで限界集落を蘇らせ、地元の米である神子原米(みこはらまい)をあのローマ法王に食べてもらい、米のブランド化に成功させた伝説のスーパー公務員、高野誠鮮氏に迫る!
ナポレオンの村のモデル、高野誠鮮とは?
プロフィール
生年月日:1955年11月2日(59歳)
出身地:石川県羽咋市大田町
出身校:石川県立羽咋高等学校
役職:羽咋市教育委員会文化財室室長
日蓮宗僧侶(本證山妙法寺・第41世住職)
高野誠鮮の経歴
1955年11月2日に石川県羽咋市大田町で生まれ、高野氏は今年で60歳の還暦を迎えられる。
高野氏は高校卒業後、日本テレビで「11PM」などの放送作家として活躍。UFO企画なども手がけ、UFO研究家の矢追純一氏とも仕事をしている。
その後、江戸時代から続く実家の寺を継いで日蓮宗の僧侶をしながら、1984年に石川県羽咋市役所で臨時職員として働き始める。
高野氏はひとつ年上の兄がいる次男だが、実家を継ぐ予定だった兄が埼玉に家を建ててしまったことで、僧侶を継ぐ形となる。
出典:高野誠鮮facebook
そんな高野氏の父親も、僧侶と公務員の二足のわらじを履いていたそうだ。
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1996年、地元の古文書にUFOを連想させる記述があったことから、UFOを利用した町おこしを企画。
日本初となる宇宙科学博物館「コスモアイル羽咋」を創設し、羽咋市のまちおこしのために尽力していた。
この功績が認められ羽咋市の正規職員に採用となるが、2002年に農林水産課に異動となり、宇宙とは関係ない分野、それまで無縁だった農業に向き合うことになる。
過疎高齢化集落の活性化と農作物のブランド化を命じられた高野氏。年間予算わずか60万円という低予算だったが、高野氏はまちおこしのために挑戦する。
高野氏は当時の気持ちを、インタビューで以下のように語っている。
「できないと言われるとカチンときて心に火がつくんですよ。どうしてできないと言うんだろう、こうすればできるんじゃないかと考えてみる。失敗したらどうしようなんて考えません。成功するまでやってみればいいという単純な考え方なんです」
出典:headlines.yahoo.co.jp/
65歳以上の高齢者が人口の半数以上の割合を占める集落は限界集落と呼ばれ、羽咋市の神子原地区も過疎高齢化が進む限界集落だった。
2004年、神子原地区活性化のための最初のプロジェクト「空き農地・空き農家情報バンク制度」がスタート。
集落にある空き家や耕作放棄地に新たな住民を招き入れる空き家バンク制度は、集落の住民が新しい住民を面接。
「この人ならいいだろう」と納得してから受け入れ、そうやって迎えられた人たちは集落に定着していった。
神子原地区のなかでも特に高齢化が進んでいた菅池という集落は、2010年には高齢化率が47.5%にまで下がり、限界集落から脱却できた。
2015年現在、13家族39人が神子原地区に移住しているそうだ。
集落に人を呼び込むことに成功した高野氏は、次に農作物のブランド化に着手する。
地元の米である神子原米に目をつけた高野氏は、影響力のある人物に神子原の米を食べてもらいたいと考えた。
天皇陛下に召し上がっていただき「皇室御用達」にしようと考え、高野氏はさっそく宮内庁へアプローチするが、残念ながら叶わなかった。
しかし高野氏は諦めない。
神子原という地区の名前から「神の子」と呼ばれるキリストを連想し、キリスト教で最大の影響力を持つローマ法王に食べてもらえればその効果も大きいと考え、ローマ法王庁に神子原米の献上を申し入れた。
しかし返事は返ってこなかった。ローマ法王も無理だと諦め、次に当時のアメリカ大統領だったブッシュ大統領に食べてもらおうと大使館と交渉を始めた頃、なんと千代田区のローマ法王庁大使館に招かれることになったのだ。
高野氏が持参した神子原米は正式にローマ法王の献上物となり、「ローマ法王庁御用達」というブランド化に見事成功。ブランド価値を得た神子原米は、その後飛ぶように売れたそうだ。
こうして、羽咋市神子原地区を活性化させた高野誠鮮氏は、
2005年に毎日地方自治大賞「特別賞」を受賞。
2007年には「立ち上がる農山漁村」として農林水産省にも選定され、伝説のスーパー公務員と呼ばれるようになった。
著書「 ローマ法王に米を食べさせた男」
高野氏の著書「ローマ法王に米を食べさせた男」は、限界集落から「売り」になるものを見つけるまでや、村に人が来て賑やかになり、活気を帯びていく様子も細かく書かれている。
仕事のアイディア力が増したり、商売繁盛のヒントにもなる一冊となっている。
3分で分かる「ナポレオンの村」
まとめ
はじめから神子原米を国内ブランドよりひとつ上を狙い、世界に通用するブランドにしようと考えていた高野氏の発想は凄い。
国内ブランドとしてでは、やがて地域ブランドに落ち着いてしまうと感じていた高野氏の先見の明があったからこそ、神子原米は「ローマ法王庁御用達」という、とんでもないブランド価値を得ることができたのだろう。
行動すれば失敗もするし、人とぶつかることもある。しかしそれでも諦めない。
できない理由を考えるのではなく、できる可能性を信じて行動した高野氏から、チャレンジし続けることの大切さを改めて感じた。